ステップ 5:教え
イエスのようになる
イエスの弟子が人生をかけて目指す二つ目の目的はイエスのようになることです。イエスは自分の全てで完全に神を愛し、人々を自分自身のように完全に愛しました。私たちはどのようにすればそんなイエスのようになれるのでしょうか。 クリスチャンは聖霊の働きによっ て、イエスのかたちに変えられています。それ が 霊的形成や聖化と呼ばれるプロセスです。これは一生をかけた変化であり、来るべき世で私たちが栄光のうちにキリストに似た者になるときに完成します。 1
私たちをキリストのかたちに変えるのは聖霊の働きですが、私たちもそれに 積 極 的に関 わる必 要 があります。聖霊の働きが力強く私たちを変えるのは、私たちが聖書の教え、クリ スチャン同士の交わり、 霊的習慣 (霊的鍛錬とも呼ばれます)を人生で大切なこととして実践するときです。聖 書 の「使 徒 の 働き」には 、 初めのクリスチャンたちがこの三つを大切にしていたことが書かれています(パンを裂くことと祈りは霊的習慣の例です)。
使徒の働き 2章42節
42 彼らはいつも、使徒たちの教えを守り、 交わりを持ち、 パンを裂き、祈りをしていた。
私たち全員が日々なにかの形に変えられています。それは良いものの時もあれば、 悪いものの時もあります。私たちは、 どんなストーリーを信じているか(世界観)、 どんな人たちと時間を過ごすか、 どんな習慣を持っているかによって変えられています。聖霊は私たちをイエスのかたちに変えます。けれど、それに敵対する悪魔が存在します。 悪魔は私たちを神の望む姿から遠ざけ、 破 滅 に 追 いやろうとします。聖書と教会の歴史を見ると、聖霊に逆らう三つの悪い影響があることがわかります。その三つが、 悪魔の嘘、 肉の罪深い欲望、この世の影響です。
ですから悪 魔の策略に立ち向かうために、クリスチャンは、聖書の教え、クリスチャン同士の交わり、 霊的習慣を実践することが必要です。
交わりと習慣についてはこれからのステップで学んでいきます。ここではキリストのかたちに変えられていくために聖書の教えがどのように大切なのかを見ていきましょ う。私たちは自然の状態では、イエスのようではありません。ですから、神を愛さず、他者を完全に愛することもできません。私たちは罪の性質を持つ、罪を愛する存在です。その原因は私たちの信じていること や考えていることにあり、聖書はそれを「思い」と呼んでいます。行動も思いから出てくるものです。罪の状態を聖書はこのように書いています。
ローマ人への手紙 1章28節
28 また、 彼らは神を知ることに価値を認めなかったので、神は彼らを無価値な思いに引き渡されました。それで彼らは、してはならないことを行っているのです。
聖書は、私たちが神について信じていることが思いに影響し、それが行動にも現れると言っています。だからこそ、私たちの思いが新たにされる必要があります。
ローマ人への手紙 12章2節
2 この世と調子を合わせてはいけません。むし ろ、心を新たにすることで、 自分を変えていただきなさい。そうすれば、神のみここ ろは何か、すなわち、 何が良いことで、神に喜ばれ、完全であるのかを見分けるようになります。
世、 肉、 悪魔の三重の影響が私たちを変えようと働いています。ですから、もしイエスのかたちに変えられていないなら、私たちは神に敵対する世と調子を合わせるようにと変えられてしまっているのです。
「この世と調子を合わせる」とはどのような意味でしょ うか?
具体的にどのようなものがこの世と調子を合わせるようにと誘惑していますか?
私たちがイエスのように変えられることについて詳しく書いている聖書の箇所を読みましょ う。
エペソ人への手紙 4章18-24節
18 彼ら(神を離れた人々)は知性において暗くなり、彼らのうちにある無 知と、頑なな心のゆえに、神のいのちから遠く 離れています。19 無感覚にな った彼らは、 好色に身を任せて、あらゆる不潔な行いを貪るようになっています。20 しかしあなたがたは、キリストをそのように学んだのではありません。21 ただし、本当にあなたがたがキリストについて聞き、キリストにあって教えられているとすれば、です。真理はイエスにあるのですから。22 その教えとは、あなたがたの以前の生活について言えば、人を欺く 情欲によって腐敗していく古い人を、あなたがたが脱ぎ捨てること、23 また、あなたがたが霊と心において新しくされ続け、24 真理に基づく 義と聖をもって、神にかたどり造られた新しい人を着ることでした。
ここでも、私たちが信じることと考えること(18節 「知性」「心」)が生き方(19節 「行い」)につながると言われています。しかし、私たちはどのようにして「古い人」から「新しい人」へと変わることができるのでしょう。それは、キリストを学び(20節)、「キリストにあって教えられ」(21節)、「霊と心において新しくされ続け」ることによってです(23節)。教えによって、私たちは「神にかたどり造られた」姿へと成長していきます(24節)。私たちが御霊によってイエスのように変えられていくために聖書の教えを学ぶ方法を三つ紹介します。
行動 1:礼拝で聖書の教えを学ぶ
私たちが聖書を学びながら生きるための最も簡単で基本的な方法は、定期的な教会の集まり(礼拝)で聖書の教えを聞くことです。
なぜ多くの教会が日曜日の集まりの半分以上の時間を聖書のメッセージに使うのか不思議に思ったことありませんか。それは、聖書の教えを聞くことが、クリスチャンの成長に欠かせないことの一つだからです。
聖書は、神がある人たちを教師として任命し、 必要な賜物を与えたと書いています。2 旧約聖書でも新約聖書でも、神の民は定期的に集まって聖書の言葉を聞いていたとあります。3 また、 二千年の教会の歴史を通して、イエスの弟子たちは少なくとも毎週一回は集まって聖書の教えを学んできました。
私たちは神の真理を必要としています。 毎週、聖書以外のどんな場所から情報を得ているか考えてみてください(例えば、 ニュ ース、 SNS、テレビ、 映画、本、 YouTubeなど)。その多くは、聖書に教えられている神の真理に沿ったものではありません。ですから、 正しい視点を維持するためには毎週、 定期的に、聖書の教えを聞くことが必要です。
クリスチャンが聖書の教えを学ぶことに献身するように、4 それぞれの教会の牧師、 長老、教師たちは神の言葉を教えることに献身しています。テモテへの手紙 第一 では、 牧師であるテモテにこのように言われています。
テモテへの手紙 第一 4章13節、16節
13 私が行くまで、聖書の朗読と勧めと教えに専念しなさい。… 16 自分自身にも、教えることにも、よく気をつけなさい。働きをあくまでも続けなさい。そうすれば、 自分自身と、あなたの教えを聞く人たちとを、 救うことになるのです。
イエスの弟子は地域教会に属して、その教会の牧師から聖書の教えを受けるべきです。 地域教会の牧師は、神の言葉を一般的に教えるだけでなく、その場所に集まっている人々に対してどのように適用するのかを教えようと努力しています。
コロサイ人への手紙 1章28節
28 私たちはこのキリストを宣べ伝え、あらゆる知恵をもって、すべての人を諭し、すべての人を教えています。すべての人を、キリストにあって成熟した者として立たせるためです。
ですから、イエスの弟子が聖書の教えを通してイエスのようになる最初の方法は、地域教会に属して、そこで聖書の教えを聞くことです。
行動 2:キリスト教のリソースを用いて学ぶ
二つ目に、イエスの弟子は信頼できるキリスト教のリソースから学ぶことができます。リソースは本、 礼拝メ ッセージ、 ポッドキャスト、教理問答、など多くの種類があります。これらは、 地域教会の牧師の教えと比べると私たちの実際の生活からは距離がありますが、一週間のいつでも学ぶことができるという利点があります。
信頼できるクリスチャンのリソースは多くありますが、同時に偽の教えや害のある考え方を含んだものも多く出回っています。ですから、牧師、メンター、信頼できるクリスチャンなどにオススメできるものを聞いてみてください。 覚えておいて欲しいことは、 最終的な権威は聖書です。ですから、さまざまなリソースや教えに触れる中で、いつもそれが真理かどうかを聖書をもとに確認する必要があります。5 そして、偽の教えが出回っていることを知って、警戒しましょう。6
使徒パウロはイエスの弟子として生涯をかけて神の言葉を学び続けました。彼は牢屋に入れられて、もしかしたら処刑されるかもしれないという状況の中でも、テモテに本を持ってきてくれるようにと頼んでいます。
テモテへの手紙 第二 4章13節
13 あなたが来るとき、トロアスでカルポのところに置いてきた外套を持って来てください。また書物、特に羊皮紙の物を持って来てください。
本や動画などのリソースは聖書や地域教会の聖書の教えの代わりになるものではありません。けれど、それらを用いることで、 多くの時間を聖書の教えを読み、聞き、見るために使うことができます。信頼できるキリスト教のリソースから学ぶことで、私たちの思いを変えてイエスに似たものへとしてくれる御霊の働きに心を開くことができます。
毎週のリズムの中で、キリスト教のリソースを用いていますか?
どんなリソースが助けになっていますか?読むこと、 聞くこと、見ることのどれがやりやすいですか ?
行動 3:神の真理を暗記して暗唱する
三つ目に、私たちの思いを新たにする御霊の働きに心を開くために、心を神の真理で満たしましょ う。
詩篇 119篇11節
11 私はあなたのみことばを心に蓄えます。あなたの前に罪ある者とならないために。
聖書を暗記したことがありますか(節、章、書物の全体など)?
どのような経験でしたか?
暗記したことで、どんな良いことがありましたか?
私たちの頭は驚く ほどの暗記力を持っています。学生の時には数学の公式や歴史の年号などを覚えたと思います。私たちは他にも、 好きなスポーツチー ムの情報、 芸能人の名前、 友達の誕生日、料理のレシピ、人の家への行き方など多くのことを記憶しています。
私たちがどんなことを頭に入れるのかは、私たちの人格に影響します。
何千年もの間、神に属する人 々は神の言葉を暗記することを大切にしてきました。 ユダヤ 人たちは聖書の申命記 6章4-5節の言葉を暗記して、 朝起きた時と夜眠る前に欠かさず暗唱していました。イエスもおそらくこの習慣を持っていたでしょ う。
申命記 6章4-5節
4 聞け、イスラエルよ。 主は私たちの神。 主は唯一である。 5 あなたは心を尽 くし、いのちを尽 くし、 力を尽 くして、あなたの神、 主を愛しなさい。
「主が私たちの神であり、主だけが私たちの神である。私は今日、自分の全てで主を愛する。」毎日の初めと終わりにこの真理を思い出すことは、私たちの生き方を どれだけ変えるでしょ うか。この申命記の箇所を続けて読んでいくと、子どもたちに神の言葉を教える大切さが書かれています。一日中、家庭の中でも外でも、子どもたちに神の言葉を教えるようにと言われています。
あなたの朝起きた時の習慣と夜の眠る前の習慣はどのようなものですか?
(例えば、メールを確認する、ニュースを見る、SNSをチェックする。)暗記した神の言葉を口にすることで一日を初め、また終えるとすれば、どのようにあなたの視点は変わるでしょうか?
1 ピリピ人への手紙 1章6節、ローマ人への手紙 8章29-30節、ヨハネの手紙 第一 3章2節
2 コリント人への手紙 第一 12章28節、エペソ 人への手紙 4章11節、テモテへの手紙 第一 3章2節、ヤコブの手紙 3章1節
3 ネヘミヤ記 8章8節、 使徒の働き 5章42節、 20章7節
4 使徒の働き 2章42節
5 使徒の働き 17章11節
6 テモテへの手紙 第一 6章3-5節
7 ペテロの手紙 第一 5章8節、 ヨハネの福音書 8章44節
8 マタイの福音書 4章1-11節