ステップ2:祈り
イエスと共に過ごす
クリスチャン人生の一つ目の目的はイエスと共に過ごすことです。 実際には、イエスはいつも私たちと共にいてくれますが、私たちはそれを簡単に忘れてしまいます。ですから、この目的が目指しているのは、イエスの存在を意識することです。神との関係の土台と頂点はどちらも神との会話です。それは、神が神の言葉である聖書を通して私たちに話しかけ、私たちが祈りで神に話しかける会話です。
祈ることは難しいと感じますか ? その理由はなぜですか ?
祈りとはなんでしょ う。なぜ私たちは祈るのでしょう。 祈りの意味を理解していないと、 祈ることは難しいです。 例えば、次の問いを考えてみてください。 祈りの本質は宗教的な行為だと思いますか。それとも、神との関係だと思いますか。 何かを求めて祈ることが多いですか。それとも、神と話すことを求めて祈ることが多いですか。祈りとは神と会話し、神との時間を楽しむことです。だからと言って祈りに儀礼的な部分がないわけではなく、形式は祈る手助けをしてくれます。また、神にお願いをすることが間違っているわけでもありません。神に願うことは神との関係の大切な一部です。しかし祈りの土台であり、また、 頂点であるのは神と過ごす時間を楽しむことです。ここから三つのレベルに分けて、 祈りを通して神との関係を楽しむ方法を学んでいきましょう。
レベル1
ただ神に話す
レベル2
主の祈り
レベル3
祈り続ける
レベル1:ただ神に話す
イエスの祈りを見ることが、 何よりも私たちに祈りについて教えてくれます。聖書のいくつかの箇所から、イエスの祈りを垣間見ることができます。 1 聖書には、弟子たちがイエスの祈りの生活に感銘を受けて、「祈り方を教えてください」と聞く場面が書かれています。イエスは神の子として神との特別な関係を持 っていました。私たちもイエスの祈りから神とど う交わり、 近い関係を持てるのかを学ぶことができます。イエスが弟子たちに教えた祈り方を読んでいきましょ う。
マタイの福音書 6章5-8節
5 また、 祈るとき偽善者たちのようであってはいけません。 彼らは人々に見えるように、会堂や大通りの角に立 って祈るのが好きだからです。まことに、あなたがたに言います。 彼らはすでに自分の報いを受けているのです。 6 あなたが祈るときは、 家の奥の自分の部屋に入りなさい。そして戸を閉めて、 隠れたとこ ろにおられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れたとこ ろ で見ておられるあなたの父が、あなたに報いてくださいます。 7 また、祈るとき、 異邦人のように、 同じことばをただ繰り返してはいけません。 彼らは、ことば数が多いことで聞かれると思 っているのです。 8 ですから、 彼らと同じようにしてはいけません。あなたがたの父は、あなたがたが求める前から、あなたがたに必要なものを知っておられるのです。
まずイエスは「他の人に聞かせるための宗教的な行為として祈 ってはいけない」と教えました。 祈りの目的は「 人々に見える」ことではありません。人前で祈るのは苦手だと感じるかもしれません。しかし、 祈りはあなたと神との会話です。人前で上手に祈ることが神を喜ばせるわけではありません。神が望んでいるのは、私たちが他の人を気にしながら祈ることではなく、心をしっかりと神に向けることです。 祈りは神との関係です。神が私たちの祈りを「隠れたところで見ておられる」のです。
二つ目にイエスが教えたのは、 祈りは天の父に近づくための方法であって、何かを得ることが一番の目的ではないということです(7-8節)。 祈りの中で神に助けを求めることは間違いではありません。 実際に、 祈りは私たちの必要から溢れ出てくるものです。助けが必要な時に、私たちは神に助けを求めるべきです。 2 しかし、イエスはここで弟子たちに、 祈りは「 ことば数が多いことで聞かれる」と思ってはいけないと教えます。 正しい言葉遣いで祈ったり、 良いことを行ったり、 献金を捧げたりという私たちのすることによって神が祈りに答えてくれるわけではありません。私たちが祈る何よりの理由は、祈りが「あなたがたが求める前から、あなたがたに必要なものを知っておられる」 天の父との会話だからです。
イエスは私たちの父である神との関係に目を向けて祈るようにと教えました。
コリント人への手紙 第二 6章18節の言葉を読んでみましょ う。
コリント人への手紙 第二 6章18節
18 わたしはあなたがたの父となり、あなたがたはわたしの息子、 娘となる。─全能の主は言われる。
コリント人への手紙 第二 6章18節を読んだときに、 どう感じましたか ?
祈りの鍵となるのは、神が私たちを愛している父であり、私たちが神に愛されている子どもであることを信じる(知り、受け入れ、意識し続ける)ことです。地上の父親との関係がどんなものであったとしても、神は無条件の愛で受け入れてくれる、優しく良いお父さんです。だから、難しく考えずに父である神に話しかけましょう。 祈りの初めのレベルは、シ ンプルにあなたの天の父に話すということです。
神は同時にど こにでもいる方なので、ど こででも祈ることができます。 特別な場所で祈ることで、祈りが聞かれやすくなるわけではありません。外を歩いている時も、部屋にいても、公園でも祈ることができます。声に出してでも、心の中ででも、ノートに書いてでも祈ることができます。祈る時の姿勢も座っていても、立 っていても、ひざまずいていても祈ることができます。
では、何を祈るべきなのでしょうか。この初めのレベルでは、なんでもいいので心に思いつくことを祈ることから始めましょう。自分が幸せに思っていること、感謝していること、恐れていること、心配していること、必要なものなどを天の父に話してみましょう。特別な言葉や決まった言葉を使う必要はありません。ただ神に話しかけましょう。
レベル2:主の祈り
イエスは弟子たちに祈りのモデルを教えました。
マタイの福音書 6章9-13節
9 ですから、あなたがたはこう祈りなさい。『天にいます私たちの父よ。御名が聖なるものとされますように。10 御国が来ますように。 みここ ろが天で行われるように、 地でも行われますように。11 私たちの日ごとの糧を、今日もお与えください。12 私たちの負い目をお赦しください。私たちも、私たちに負い目のある人たちを赦します。13 私たちを試こころみにあわせないで、悪からお救いください。 』
この祈りは「主の祈り」と呼ばれる祈りですが、「弟子の祈り」と呼んだ方が正確かもしれません。これはイエスが弟子たちに教えた祈りのモデルです。
私たちはイエスの弟子として、この祈りをいろいろな方法で祈ることができます。書かれている言葉の通りに祈ってもいいですし、この祈りから自分の言葉を使って祈りを広げていくこともできます。 主の祈りをモデルにして祈ることで、神の御国の価値観と優先順位に沿って祈れるようになります。
ではこの祈りをフレー ズごとにみて、まずは祈りの内容を理解しましょ う。それによって、この祈りを自分の祈りとして自分の言葉を付け加えて祈ることができるようになります。
私たちの父よ
神は私たちの父で、私たちはキリストにあって神の愛する子どもです。神の愛は私たちの行いによって増えることも減ることもありません。今日がどんな日であったとしても、神はイエスを信じ てキリストにある私たちを最大限の愛で愛して、喜んでくれています。あなたの神との関係を考えて、 祈りを始めましょ う。
天にいます
神は天にいます。神は全てを超えた世界の王で、私たちの人生もこの世界の全ても神が治めています。神の許しなしにはどんなことも起こりません。 3 天というのは私たちから離れた遠い場所を指しているのではなく、 空気と同じように私たちの周りにあります。 天にいます私たちの父は、私たちのす ぐ近くにいる方です。神が全てを超える存在でありながらす ぐ近くにいてくださることを意識して祈りを始めましょ う。
この祈りの前半は神を中心としていて、神の名、神の国、神の思いを求める祈りです。
御名が聖なるものとされますように
聖なるものとされるとは、特別なものとして区別されるということです。このフレーズは神の存在と働きが礼拝されるようにという願いです。祈りの中で神を礼拝しましょう。
御国が来ますように
神の国とは神が王としてあがめられているとこ ろです。神が王として認められているところでは、信仰、愛、正義、あわれみ、平和が溢れています。4 神の国の素晴らしさが広がるように、幅広く、また具体的に祈りましょう。
みこころが天で行われるように、地でも行われますように
神の思いが 行われることは全ての人にとって一番良いことです。しかし、多くの場合、神の思いは私たちの思いとは違います。イエスは十字架にかかる直前に、 自分の思いではなく父なる神の思いが行われるようにと祈りました。 5 私たちも神の思いが自分の人生で、周りの人々の人生で、自分の住む街や国で、そして世界中で行われるように祈りましょう。
次に、この祈りの後半部分では「私たちの」という言葉を使って、三種類の必要を神に願います。
私たちの日ごとの糧を、今日もお与えください
「日ごとの糧」は私たちの日々の必要のことで、そこには物質的な必要も霊的な必要も含まれています。あなたには今どんな必要があるでしょ うか。それを祈り神に聞いてもらいましょう。
私たちの負い目をお赦しください。私たちも、私たちに負い目のある人たちを赦します
「負い目」は私たちが神や人に対して犯す罪や悪い行いです。自分の罪を具体的に告白しましょう。そして神の前で、他の人があなたに犯した罪を赦しましょう。
私たちを試みにあわせないで、悪からお救いください
ここで私たちは自分の誘惑への弱さを素直に告白し、悪から助けて(救って)くれるように神に願います。あなたに向かってくる問題や悪から助けてくれるように神に祈りましょう。
聖書には他にも私たちの手本となる祈りがたくさん書かれています。例えば、詩篇やパウロの祈り、イエスの祈り、旧約聖書に書かれている祈りなどがあります。いま学んだイエスの祈りや他の聖書に書かれている祈りに合わせて、私たちも神に祈っていきましょう。
レベル3:祈り続ける
祈りは、私たちが神と共にいることを意識して楽しむ方法の一つです。ですから祈りのゴールは一日を通して祈り続けることです。
テサロニケ人への手紙 第一 5章17節
「絶えず祈りなさい」
「そんなの無理」と思うかもしれません。 止まることなく 祈り続けるなんて可能なのでしょ うか。 食事をしたり、 仕事をしたり、 眠る時間も必要だと思うかもしれません。けれども、 仲の良い友人と一日一緒に過ごすことを想像してみてください。一日ずっと会話しているわけではなくても、 互いに一緒にいることを意識して楽しんでいると思います。それと同じ ように、イエスの弟子はイエスと一緒にいることを一日中意識しながら喜び、その中で神と祈る時間を一日を通して持ちます。そのための方法を二つ紹介します。
その場で祈る
友達と同じ部屋にいるときには、努力しなくても気軽に話しかけることができます。気軽に呼びかければ、それで会話が始まります。違うことをやっていたとしても、本を読んでいて思い浮かんだことをシェアしたり、明日の予定を聞いたりと簡単に話しかけることができます。 同じように、私たちは神に対しても気楽に一日を通して祈りで話しかけることができます。
その場で祈るといっても、どんなときに祈れば良いのでしょう。例えば、起こったことをその場で感謝できます。暖かい太陽を浴びたり、同僚から良い知らせを聞いたり、罪の誘惑に打ち勝つ力を与えられたときに「ありがとうございます」と感謝しましょう。また、助けが必要なときに神に呼びかけることもできます。誘惑にあう時や、仕事で難しい問題が起きた時、 家庭で嫌なことがあった時に「神様、助けてください」と願いましょ う。長く祈る必要はありません。難しく考えずに、共にいて大切に思ってくれている神に話しかけましょ う。
時間を決めて祈る
聖書には、クリスチャンが決まった祈りの時を持 っていたと書かれています。 6 これは人々が何世代にもわたって、聖書の神を求めて祈り続けてきた結果です。当時は一般的に、神殿で捧げ物をする時間に合わせて、朝、午後、夕方と三回の祈りの時間がありました。また、 朝起きた時と夜に眠る前にも祈りました。 7 さらに食事の前に神に感謝する習慣もありました。このパターンに合わせて祈ることは義務ではありません。しかし、祈りのリ ズムを作ることで一日を通して神の存在を求めて楽しむことができます。
一日の祈りのパターンの一例です :
朝起きた時の祈り
朝の祈り
朝ごはんの祈り
昼ごはんの祈り
午後の祈り
夜ごはんの祈り
夕方の祈り
眠る前の祈り
クリスチャンと一緒に住んでいたり子どもがいる方は、食前の祈りを一緒にするといいかもしれません。
特に「朝の祈り」と「夕方の祈り」は一人で集中してしっかりと時間をかけて祈るのにおすすめです。一日を通してその場で祈るのも、食前に祈るのも大切ですが、毎日一回は一人で集中してゆっくりと祈る時間を持ちましょ う。
あなたに必要なのはどのレベルの祈りですか ?
祈るための計画を立ててください。
1 例えば、ルカの福音書 5章16節、6章12節、9章18節、9章28節、11章1節、22章41節
2 ルカの福音書 11章5-13節、18章1-8節
3 マタイの福音書 10章 29-31節
4 「パート3:イエスの働きに参加する」
5 マタイの福音書 26章39節
6 使徒の働き 2章42節、 3章1節
7 申命記 6章7節